実践的ケーススタディで学ぶEFOとツール6選

問い合わせや申し込み、購入などの入力フォームまで到達したにもかかわらず、途中で離脱してしまう閲覧者は80%以上とも言われています。
さらにBtoBでは入力フォームで離脱する割合が90%を超えるケースも珍しくないため、改善の余地があります。

しかし、入力フォームに問題があると認識しつつも、どのように改善して良いのか分からない方も多いと思います。

今回はこのような課題を解決するEFOについて当社で実施・支援したケーススタディを紹介するとともに、EFOに貢献する幾つかのツールをピックアップしてみました。

EFOとは?

EFOとは、Entry Form Optimization (エントリーフォーム最適化)の略で、問い合わせや申し込み、購入などの入力フォームにおいて、入力者の手間や時間を減らすことで、快適に入力が完了できるように最適化することを指します。

EFOについては、過去にも「EFO(エントリーフォーム最適化)でチェックしたい30個のポイント」という記事を公開していますので、あわせてご覧ください。

入力フォームを最適化することによって得られる効果は大きく2つあります。

EFOの効果1.途中離脱を防ぐ

フォームに到達したものの、途中で入力を諦めてしまう閲覧者は少なくありません。
離脱原因としては以下が挙げられます。

  1. 入力項目が多い
  2. 必要性のない必須項目が多い
  3. 必須項目が分かりづらい
  4. エラー個所が分かりづらい
  5. 半角・全角、ひらがな・カタカナ等の入力規則が分かりづらい
  6. リンクにより他ページに遷移してしまった

その結果、入力に時間がかかってしまったり、エラーによる再入力を何度も繰り返したりすることによってストレスを感じてしまうと、離脱の原因となります。

EFOはこのようなフォームの途中離脱の課題を解消し、フォーム完了まで到達させることを目的としています。

EFOの効果2. CVRの向上

せっかく集客できても、フォーム入力が完了しなければコンバージョンには至らず、CVRは低下する一方です。

一般的に大量集客が難しいBtoBのWebサイトでは、集客に注力するよりも、コンバージョンに近い個所から改善するがセオリーと言われています。

Webサイトのグロースハックにおいて、よりコンバージョンに近い個所から改善していくことは一つのセオリーと言われています。問い合わせフォームの見直しなど、今ある訪問者数を確実にコンバージョンさせる改善が、集客などのリソースがかかる施策よりも、短期間に効果を得やすいからです。
グロースハックとは?BtoBサイトでも効果的な改善手法を解説

最もコンバージョンに近い入力フォームの改善を行うだけで、CVRは大幅に改善します。

具体事例のご紹介

それではEFOを実施することにより、どのような効果があったのかを、具体的な事例を用いて紹介します。

具体事例1. 項目順番入れ替えによる問い合わせ完了率向上

・課題
お問い合わせフォームの閲覧数は多いが、お問い合わせ数が少ない、という課題はよくあります。その課題について、Webサイトや目的の種別によって効果の大小はありますが、当社は以下のような施策を実施したことがあります。

・施策
入力項目の入れ替えをしました。

フォームの最初に会社名や役職、名前、電話番号、メールアドレスなど、事務的な内容が多くあると、閲覧者は面倒と感じてしまい離脱する可能性が高まります。もちろん入力項目の数や見せ方で調整もできますが、まずは本来このフォームで閲覧者が達成したいことを冒頭に配置することにより、CVRの改善を図りました。

具体的には、お問い合わせ内容のチェックボックスの配置とお問い合わせ内容の自由入力欄を冒頭に持ってきて、その後に会社名や役職、名前、電話番号、メールアドレスを配置しました。

・結果
入力画面から入力完了確認画面への遷移率が施策前のには5.15%だったものからが、約1ヶ月で6.19%と1%アップしました。

具体事例2.入力項目の絞込み、EFOツールの実装等によるCVR向上

・課題
具体事例1と同じく「お問い合わせフォームの閲覧数は多いがお問い合わせ数が少ない」という課題において、入力順序以外の改善方法は、どのようなものがあるでしょうか。

施策1.他ページへの導線の排除

まずは入力フォームから他ページへの導線を排除します 。

ヘッダーやフッダーのメニューはもちろんのこと、他ページへのリンクを排除すると、閲覧者は動線を意識せず入力フォームに集中できるため、離脱防止の可能性が高まります。

フォーム上に魅力的なコンテンツへの誘導のボタンがあると、フォームを完了させる前に離脱する可能性が高まります。
サイト改善で課題解決!BtoBサイトにおける3つの具体事例

個人情報の取り扱いやプライバシーポリシーなどのリンクを設置しなければならない場合は、別ウィンドウにするなど元の入力画面へ戻れるようにします。

施策2.入力項目の絞込み

入力項目が多かったり必要性の低い項目があったりすると、ユーザーは面倒と感じてしまい、途中離脱する可能性が高くなります。

そこで、必要性が低い項目を外す、または任意入力とするなど、入力項目を絞り込みました。

また併せて、「必須」を目立つアイコンへ変更しました。
必須項目が分かりづらいと、入力確認画面で未入力エラーとなり、面倒に感じたユーザーが離脱する可能性が高くなるためです。

ナビゲーションの強化・実装

必須項目の入力漏れや半角・全角などの入力規則をその場でナビゲーションする入力補助の機能を実装し、未入力や入力ミスを防ぐようにしました。

結果
上記の施策を行った結果、1ヶ月で完了率が3.02%アップし、CVRも改善しました。

EFOツールの特徴と機能

EFOには、多くの専用ツールがベンダーから提供されており、BtoBでも導入する企業が増えています。EFOツールにどのような特徴や機能があるのかをご紹介します。

導入が簡単

EFOは独自で開発することもできますが、エラー内容や入力規則などを細かに設定する必要があります。一方、ASP型のEFOツールであればタグを挿入するだけで簡単に導入可能です。安価なサービスも多く、導入しやすくなっています。

入力補助機能

多くのEFOツールでは、必須項目の入力漏れや入力形式のミス、文字数オーバー等をリアルタイムに表示することで、ユーザーのフォーム入力をアシストする機能があります。

他にもツールによっては必須項目をカラーリングで目立たせる、進行状況のリアルタイム表示(残り◯件など)、郵便番号入力による住所の自動入力、フリガナの自動入力、全角・半角への自動変換…といったさまざまな機能が搭載されています。

ログ解析機能

Googleアナリティクスに代表されるアクセス解析ツールでは、ランディングページからフォーム完了までの離脱率や完了率までは導き出せますが、「どの項目まで入力したか」「どの項目でエラーが多いか」までは分析できないものが多いです。

多くのEFOツールでは、ログ解析機能があり、入力項目個別のエラー率や離脱率など、離脱したポイントを把握することができるため、フォームにおける課題解決の役に立ちます。

EFOツール6選

※価格、スペック等は記事執筆時の内容です。正しい情報については各サイトを参照ください。

1. EFO CUBE

http://www.efo-cube.info/
入力支援機能  有り(14日間)
 ログ解析機能  有り
 導入方法  有り
 フリートライアル  高い
デモサイト  有り
料金 50,000円~(税抜)/
契約期間 6ヵ月単位

入力支援機能では、FacebookアカウントやYahoo!IDによるソーシャルログイン、入力ナビゲーション、必須項目の背景カラーリング、リアルタイムのエラーチェックといった機能があります。

またログ解析機能においては、項目ごとのエラーや離脱集計、A/Bテスト、集計結果のダウンロード等の機能が搭載されています。

2. Gyro-n EFO

https://www.gyro-n.com/efo/
入力支援機能  有り
 ログ解析機能  有り
 導入方法 ASP型(タグ挿入)
 フリートライアル 有り
デモサイト
料金 16,200円〜(税抜)/月
契約期間 1ヵ月単位

入力支援機能では、必須項目の背景カラーリング、入力ナビゲーションやリアルタイムのエラーチェック、郵便番号からの住所自動入力、全角・半角の自動変換等の機能があります。

またログ解析機能においては、項目別の離脱・エラー率やランキング、タイミングなどを計測・集計することで原因を解明し、フォームを改善へと導きます。

3. f-tra(エフトラ)EFO

http://f-tra.com/ja/efo/
入力支援機能  有り
 ログ解析機能  有り
 導入方法 ASP型(タグ挿入)
 フリートライアル 無し
デモサイト 有り(PC・SP・管理画面)
料金 30,000円〜(税抜)/月
契約期間 6ヵ月〜

入力支援機能では、必須項目の背景カラーリング、入力ナビゲーションやリアルタイムのエラーチェック、A/Bテスト機能、ふりがなの自動入力などの他、FacebookアカウントやYahoo!IDなどによるソーシャルログインにも対応しています。

またログ解析機能においては、デバイス毎のデータ、各項目のエラー数や離脱に関するレポートの自動表示、ボトルネックが一目わかるバブルチャートなど、問題点を可視化し改善するための機能が充実しています。

UI改善プランでは、ボタンや文言などへの装飾、CSSやjavaScriptを使ったUI変更も可能です。

4. スマートUPフォーム

http://suf.jp/
入力支援機能  有り
 ログ解析機能  有り
 導入方法 サーバーインストール型
 フリートライアル 無し
デモサイト 有り(PCSP・管理画面)
料金 初期導入費600,000円(税抜)/1フォーム〜
契約期間 無し

入力支援機能では、リアルタイムのエラーチェックや補助文言、入力可能文字数のリアルタイム表示、パスワード強度のチェックなどが搭載されています。

また、位置検出による住所自動入力機能、入力項目に合わせて入力キーボードを自動で切り替える入力アシスト機能など、スマートフォン独自の機能が充実しています。

サーバーインストール型のため、初期費用のみ、ランニングコストが不要です。

5. formy(フォーミー)

http://formy.jp/
入力支援機能  有り
 ログ解析機能  有り
 導入方法 ASP型
 フリートライアル 有り(30日間)
デモサイト 無し
料金 6,000円〜(税抜)/
契約期間 1ヵ月単位

入力支援機能では、リアルタイムのエラーチェック、郵便番号入力による自動住所入力、全角から半角への自動変換などが可能です。

また入力フォームそのものの作成・編集も可能です。

UIのカスタマイズ性が低いのが難点ですが、他ツールと遜色ないログ解析が可能な上、月額6,000円と低価格なのが最大のメリットです。

6. Dr. CONVERSION(ドクターコンバージョン)

http://www.gmo-eclab.com/dr-form/index.html
入力支援機能  有り
 ログ解析機能  有り
 導入方法 ASP型(タグ挿入)
 フリートライアル 無し
デモサイト 有り(PC・SP・管理画面)
料金 28,000円〜(税抜)/月
契約期間 6ヵ月〜

入力支援機能では、リアルタイムのエラーチェックや入力ナビゲーション、残り必須項目などを表示。また入力が完了するまで、送信ボタンをブロックしてエラーの発生を防ぐことも可能です。スマートフォン対応においてはラジオボタンやチェックボックスの最適化、キーボード切り替えも自動的に行います。

また、直観的に理解しやすいグラフィカルレポート機能など、ログ解析機能も充実しています。

まとめ

集客も大事ですが、見込み度の高いリードとなる、問い合わせや申し込みなどの意思をもった閲覧者を入力フォームの不備で離脱させてしまっては、大きな機会損失です。

まずは、入力順序の見直しや他ページへのリンク排除など、簡単にできる施策から実施し、PDCAを回していくことをおすすめします。

すぐにできる施策は「(エントリーフォーム最適化)でチェックしたい30個のポイント」でもご紹介していますので、ぜひご覧になってみてください。