SEO本を出版したヴォラーレ・土居さんに、SEOの突っ込んだこと聞いてみた(書評を兼ねて)

4月23日に『10年つかえるSEOの基本』を出版されたヴォラーレ株式会社の土居健太郎さんから、その書籍をいただく幸運に恵まれました。さらに厚かましいことに「出版記念(!)としてガイアックスで勉強会を開催してください」と、お願いをしたところ快諾いただいたので、書評と一緒に勉強会の様子を紹介します。

※この記事は旧ブログ「INBOUND marketing blog」から移行したものです。

SEO本を出版したヴォラーレ・土居さんに、SEOの突っ込んだこと聞いてみた(書評を兼ねて)

【目次】


SEOの王道を定義した教科書にもノウハウ本にも使えるもの

ヴォラーレさんとは会社が同じ五反田に所在するということで、懇意にしていただいています。セミナーの共催をはじめ、先日はデジタルマーケティングのカンファレンスを一緒に開催しました。 カンファレンスで土居さんはモデレータとしてもパネラーとしても登壇し大車輪の活躍。同社のオウンドメディア『SEO HACKS』での運営方針や重視しているKPIなど、普段では聞くことのできない話を赤裸々に語っていただきました(カンファレンスの様子はこちら)。

さて、土居さんの処女作『10年つかえるSEOの基本』(技術評論社)は、主に「SEOって何?」「どうやってSEOをやればいいの?」といった初心者向けの内容ですが、内容も示唆に富んでいて、Webマーケティングに10年近く携わる私も、改めてSEOの本質を学び直す機会になりました(読者像=ペルソナがしっかりしているんですね)。

書籍の構成はWebデザイナーからマーケティング担当に転身した「すずちゃん」なる人物が、学生時代の先輩(だけど留年したから同級生)の「土居くん」にSEOについて学ぶという会話形式で進みます。 テンポが良いため、難しい内容も理解しやすく、1~2時間程度で読み終わるボリュームです。

書籍の登場人物。「すずちゃん」が「土居くん」に質問する形で最後まで進むため読みやすい。

すずちゃんと土居さんの関係がどうなるかは気になるところではありますが、書籍の中で一貫して土居さんが説明しているのは、「SEOに近道はない」という、いわばSEOの王道の話。 「質の良い内容」「ターゲットを考えた内容」「目的を持った内容」という、SEOでは至極当たり前のことを、その理由と具体的な方法について分かりやすく、すずちゃんに語りかけていきます。 titleタグやdescriptionなどのmeta情報の記述方法など、テクニカルな手法についても言及していますが、「SEOとはなんぞや」という初心者はもちろんのこと、むしろSEOにどっぷり浸かっている人にこそ、読んで欲しい内容かもしれません。

それでは書籍出版直後で引っ張りだこという土居さんが、お供の人を連れてガイアックスで開催した勉強会の様子を一部ご紹介します(夜の時間ということでお菓子を食べながらですが、ご了承を)。


結局のところ、SEOは地道な活動が成功の早道

イラストではない本物の土居さんが登場。

キラリと光るネックレスが素敵。先日、ヴォラーレ株式会社の取締役にも就任された。

<プロフィール> 1984年 神奈川県横浜市生まれの30歳。神奈川県立柏陽高校を卒業、一浪の末2004年に東京大学理科一類に入学し、2度の留年を経て休学、そのまま復帰することなく中退。その後は純粋なフリーターとして活躍。ある時、ほぼ成り行きでヴォラーレ株式会社に参画、未経験入社ながら猛勉強の末1年で同社の事業部長に抜擢され。SEO事業の本格的な立ち上げを行う。 現在は同社の取締役として、SEO技術の監修のほか、2012年8月にリリースされた自社メディア「Appliv」のSEOも手がけ、現在は月間500万人以上が利用するWebサービスに成長させている。
※書籍から引用

今回のすずちゃん役。

どーん。

男ばかりのすずちゃんA~D。

すずちゃんA:今回は土居さんの出版記念の勉強会ということで、実践的なSEOについてご教授いただければと思います。 事前に質問をお送りし、回答していただいていますが、その解説を踏まえ、さらに深堀りした部分を伺いたいです。よろしくお願いいたします。

どーん。

なぜか全員黒縁メガネ。

土居さん:なんか期待と違ったんだけど、まあいいや(書籍からの引用です)。 私たちも貴社の強みとするインバウンドマーケティングについて、いろいろ伺いたいです。

すずちゃんA:早速ですが、一つ目の質問です。

『被リンクの影響は少なくなっていると聞きますが、一方で、優良なサイトの被リンクは引き続き重要と言われます』

土居さん:書いてあるとおり、リンクはなくてはなりません。リンクなくしてSEOは不可能です。 しかし、以前のように作為的にたくさんのリンクを貼ることで上位表示される時代ではなくなりました。だから「良いリンク」をもらう必要があります。

どうしたら、良いサイトからリンクをもらえるかという話ですが、良いサイトからリンクを貰う何かしらの理由を作る必要があります。テクニックだけでどうにかなる問題ではありません。

たとえば、信憑性のない情報は取り上げられる可能性は低いです。紹介することが閲覧者のためになったり、話のネタとして面白かったり、そういうものが取り上げられる、つまりリンクをもらいやすいものです。

それ以外でも、ガイアックスさんであれば、INBOUND marketing blogやソーシャルメディアラボなど、複数のメディアを運営されていますが、それらをリンクでつなぐということは簡単です。他にも他社とセミナーの共催をすることで、お互いに紹介記事を書いてリンクを貼り合うことができます。

このようにオンライン、オフラインで活動していくことで、リンクは生まれやすくなるのです。

リンクを得るためには、必ずしもブログで良い記事を書かなければならないというわけではありません。何かをやった時に「これはリンクになる、ならない」というのを考えてみることが重要だったりします。

土居さんがお連れしたSEOコンサルタントの方々。皆さんワイシャツ姿が素敵です。

大切なのはテーマ性。狭く深堀りされたWebサイトが評価される

すずちゃんA:それでは次の質問です。

『ドメインパワーやドメイン年数はどの程度SEOに関係があるか?』

土居さん:ドメインは結構関係あります。

ドメイン年数の話だと、例えば創業半年の会社と、しっかりと経営してきた創業20年の会社で、社会的にどちらの信用度が高いかは明らかです。それと同じように、しっかりと運営されてきた年数の長いドメインは強いと言えます。単純に古いドメインが良いのではなく継続的にしっかり運営されているサイトが良いのです。

ドメインパワーの話だと、ざっくり言えば、「良いコンテンツのボリューム」と「そこに集まったリンクの量」で決まると考えて良いです。

そのWebサイトがこれまでどのような経緯で運営されてきたかという点も重要です。たとえば、一発花火のように注目を集めて多数のリンクを集めた記事が1本のWebサイトと、少しずつコンテンツとリンクが増えて、サイトが大きくなった積み上げ型のWebサイト。どっちがいい悪いではなく、意味が違います。人が見ても「この人はホットだ」「この人はマジメだ」というように検索エンジンも、その内容を見ています。

もう一つ重要なのが「テーマ性」です。ヴォラーレが運営するSEO HACKSはドメインパワーやドメイン年数は強くないです。でもSEOの記事を書けば、強いです。検索結果も上位に表示されます。 いろいろなテーマの記事を書いているブログが世の中にはたくさんあると思いますが、そういうサイトよりも、あるテーマにおいて狭く深堀りされた内容を書くことが検索結果では強くなることが多いです。

ただし、例えばNaverまとめなどのレベルになってくると、このような理論は吹っ飛ばされますが…。オウンドメディアの運営では、こうした巨大サイトの例はあまり参考にしなくて良いです。

「ざっくばらんな会にしたい」という土居さんの希望で、おつまみを口にしながら。

モバイルフレンドリーアップデートは遅かれ早かれ対応していくべき

すずちゃんA:それでは次の質問です。

『モバイルフレンドリーはどこまで検索エンジンの評価対象となるのか』

すずちゃんB:4月21日にモバイルフレンドリーアップデートがGoogleモバイル検索で導入されました。当社のお客さまからモバイルフレンドリー対応について質問を受けることが多いです。 モバイルフレンドリーは早急に対応すべきことでしょうか。どのくらい影響があるものでしょうか。

土居さん:影響は正直、まだ分かりません。今のところゼロです(勉強が開催された4月24日時点)。 もともとロールアウトには1週間くらいかかると言われていますし、あと大きなアップデートは謎に週末に来ることが多いので、様子を見ています。

すずちゃんC:順位変動があったとしても、モバイルフレンドリーアップデートの影響と分かりますか?

土居さん:分かります。もし大きな影響があれば、PCとモバイルで検索トラフィックの増減率が変わるからです。PCは動いていないのに、モバイルでは動いているという点で、それがモバイルフレンドリーアップデートの影響かは、見ることができます。

この問題は、世の中で騒がれていますが、結局はモバイル対応すればOKということなので、作業しなければならないという課題はあるものの、難しいことではありません。

勉強会は19:00からスタートし、徐々に参加者全員ヒートアップ。

当たり前のことを当たり前に実施することがSEOでは大事

紹介した勉強会の様子は極々一部ですが、ヴォラーレさん側からガイアックス側にインバウンドマーケティングやソーシャルメディアの運用についての質問も多数あり、なんと2時間を超える大変盛り上がった勉強会となりました(3時間目は懇親会)。

書籍でも勉強会でも、土居さんが一貫していたのは、テクニックは少々で、大部分を正しい“Webサイトの運用方法”について説明されていることでした。 自社のWebサイトを見られる方に有益な情報や面白い情報を提供するという「当たり前」のことを実施してくことで、Googleなどの検索エンジンにも、閲覧者にも、信頼されるWebサイトが実現すると再確認した日でした。

参加者全員が、ためになった!という勉強会。土居さん、ありがとうございました。

土居さんにサインをいただきました。

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