BtoB企業が顧客に選ばれるためのSEO(検索エンジン最適化)

Webからお問い合わせを獲得するために、SEOは最も基本的な施策の1つです。

Webmarketing123 が発行する米オンラインマーケッターを対象とした デジタルマーケティングレポート2012 では、最も影響力のある見込み顧客獲得施策として SEOが挙げられており、日本でも多くのBtoB企業がSEOに取り組んでいます。

しかし、SEOで語られる話は上位表示のテクニックや検索エンジンの動向が中心になりがちで、上位表示させたページの内容や見込み顧客を獲得するまでの視点が抜けやすくなっていました。

そこで今回は、BtoBの情報行動や購買行動の観点からSEOの重要性と必要なことをご紹介します!

※この記事は旧ブログ「INBOUND marketing blog」から移行したものです。

BtoB企業が顧客に選ばれるためのSEO

【目次】


購買プロセスにおける「検索」の重要性

購買プロセスの60%近くは営業担当者が訪問する前に終わっている

米コーポレート・エグゼクティブ・ボードが1,400社以上のBtoB企業を対象に実施した調査によると、購買プロセスの60%近くは営業担当者が訪問する前に終わっていることがわかりました。

インターネットが普及する以前、営業が持ってくるカタログや年に数回開催される展示会しか情報収集の手段がなかった時代には、購買プロセスで必要な情報は企業(営業マン)が握っていました。

しかし、インターネットの普及によって情報にいつでもアクセスできるようになった現在、顧客は自分の好きなタイミングで自分が必要とする情報を探し、ソリューションの検討・予算作成・コンペ依賴先の選定などをした上で営業マンに接触するようになっています。

また、2011年に ヤフー株式会社が実施した調査 では、BtoB商材の認知から購入までの情報収集の過程でインターネットが最もよく利用され、そのうちの約90%が「検索」を行っていることがわかりました。

営業に接触する前の購買プロセスにおいて、大多数の顧客が検索によって情報収集していることを考えると、顧客の検索行動に対応した施策が必要になっています。


そもそも「検索」とはなにか

「検索」とはどのような行為なのでしょうか。

日本のSEOの第一人者である住太陽氏は『検索ユーザーの特性を知る』の中で検索を目的別に4つに分類しています。

1. インフォメーショナル検索クエリ(Informational queries)

情報探索のための検索。検索対象は幅広く、適切な検索結果も検索者によって異なる。
例: 「自転車 + パンク修理 + 方法」「スルメイカ + パスタ + レシピ」

2. ナビゲーショナル検索クエリ(Navigational queries)

特定のサイトやコンテンツに移動するための検索。
例: 「2ちゃんねる」「YouTube」

3. トランザクショナル検索クエリ(Transactional queries)

購入やダウンロードなどの意図のもとに行う検索。
例: 「楽天 + 空気清浄機 + セール」「アップルストア + MacBook」

4. コネクティビティ検索クエリ(Connectivity queries)

サイトとの接続性を確認するための検索。主にサイト管理者が行う。
例: 「site:www.mydomain.com」「link:www.mydomain.com」

このうち、BtoB商材の導入を検討している顧客が行う「検索」のほとんどが「1.インフォメーショナル検索」です。

別名「“Know”クエリ」とも言われ、“知りたい”という意図を反映した行動である点が「1.インフォメーショナル検索」の特徴です。例えば、社内SNSを検討している顧客は以下のような“知りたい”という意図を持って「検索」を行います。

  • 社内SNSの導入効果を“知りたい”
    →「社内SNS 効果」
  • 他の会社がどんな背景で社内SNSを導入したのかを“知りたい”
    →「社内SNS 目的」
  • 社内SNSを導入して成功した企業の事例を“知りたい”
    →「社内SNS 成功事例」
  • クラウド型の社内SNSを提供している会社を“知りたい”
    →「社内SNS クラウド」

購買プロセスの中の「検索」に対応するために必要なこと

検索を“知りたい”という意図を反映した行動として捉え直すと、「上位表示を獲得するためのテクニック」に注目したときには見えなかった視点が生まれます。

例えば、給与計算アウトソーシングを検討する顧客(検索者)は、購買プロセスの中で以下のような疑問を抱き、それを解決してくれる情報を探しています(=インフォメーショナル検索)。

  • なぜ、給与計算アウトソーシングを使った方が良いのか
  • 導入するまでに社内で何を準備しなければいけないか
  • 自社で給与計算する場合に比べて、どれぐらいコストが下がるか
  • 自社で導入した場合、年間でいくらかかるか
  • A社とB社のどちらに発注するべきか
  • 発注した後に何をする必要があるか

そして、このような“知りたい”というニーズを中心に考えた場合、検索行動に対応するためには以下の2つが必要だとわかります。

  1. “知りたい”に答えられるページを用意すること(=コンテンツ)
  2. そのページへたどり着きやすくすること(=上位表示)

一般的にSEOでは、「2.そのページへたどり着きやすくすること(=上位表示)」にスポットが当たりやすいですが、まずはじめに考えるべきは「1.“知りたい”に答えられるページを用意すること(=コンテンツ)」です。

“知りたい”というニーズに答えられるページを用意し、そのページへたどり着きやすくすることがSEOの本来の役割。「ページ内のキーワード含有率は何%が適切か」「h1は文章が良いか、単語が良いか」などの検索エンジンに対する最適化よりも、検索者の検索行動に対する最適化の視点が求められます。

給与計算アウトソーシングを提供する企業であれば、以下のようなSEOが必要です。

なぜ、給与計算アウトソーシングを使った方が良いのか

  1. 「給与計算アウトソーシングで得られる5つの効果」ページを作成
  2. 「給与計算アウトソーシング 効果」での上位表示

導入するまでに社内で何を準備しなければいけないか

  1. 「導入までの流れ」ページを作成
  2. 「給与計算アウトソーシング 流れ」での上位表示

自社で給与計算する場合に比べて、どれぐらいコストが下がるか

  1. 「コスト削減シミュレーション」ページを作成
  2. 「給与計算アウトソーシング 費用 比較」での上位表示

上記のように、顧客(検索者)が購買プロセスの中で疑問に思うことへの回答をWebサイトやブログに用意し、そこにアクセスしてもらうことで顧客(検索者)と企業のコミュニケーションが生まれます。そのコミュニケーションの結果として、「この会社は課題解決に役立つ情報を提供してくれた」「この分野の専門家として十分な知識を持っている会社だ」と思ってもらい、顧客に選ばれることを目指しましょう。

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