オウンドメディアの運営を支える3つの大切なこと

インターネットの存在が生活に溶け込む現代では、当たり前のように「オウンドメディア」に触れている方が増えています。通勤時にキュレーションアプリを使って記事を読んでいる人は1つのアプリを通してたくさんの記事サイト型のオウンドメディアに触れていますし、お菓子のキャンペーンやイベントを調べる際に見る公式サイトもオウンドメディアです。オウンドメディアは企業とユーザーとのコミュニケーションには欠かせないものです。

今回はそのオウンドメディアの運営のポイントについてお送りします。

※この記事は旧ブログ「INBOUND marketing blog」から移行したものです。

【目次】


改めてオウンドメディアとは

オウンドメディアとは企業の持つ自社メディアのことを指します。ただし自社のサイトだから無条件にオウンドメディアと呼ぶのかといえば必ずしもそうとは言えません。企業がそのサイトを通してユーザーにアプローチができる場合をオウンドメディアと指すことが多いです(諸説あります)。マス広告やリスティング広告のようなペイドメディアに比べ、目に見える費用は掛からず、TwitterやFacebookのようなソーシャルメディアを活用しつつ自社のサイト上でユーザーとの関係性を築いていきます。

例えばガイアックスが運用する3サイトを見てみましょう。

INBOUND marketing blog (現:MARKEiT)

ここではBtoB企業向けにインバウンドマーケティングに関するノウハウを発信しています。そのため掲載する記事は真面目な文章で構成されており、サイトのデザインも以下の2サイトに比べシンプルです。ターゲットはBtoB企業のマーケティング担当者、Web担当者です。

GaiaX SocialMedia Lab.

FacebookやTwitter、LINEなどのソーシャルメディアについての記事を掲載しています。桜の花びらの舞う4月にふさわしいデザインで柔らかい印象を演出しています。
ターゲットはBtoB企業だけでなくBtoC企業のマーケティング担当者や広報担当者なども含みます。またソーシャルメディアが私たちの生活に欠かせない存在となっている現代では、個人利用者の閲覧も考えられます。

SmaList

3つ目のサイトではスマートフォンコンテンツに関する記事を掲載しています。ここではスマートフォン向けのアプリの紹介やLINEスタンプを実際に作って販売してみた結果などの記事が読めます。ロゴも星やスマートフォンを用いたものになっていて可愛いですね。
スマートフォン向けアプリやコンテンツを提供する企業の担当者が閲覧することも考えられますが、個人が読み物としても楽しむ姿も想像できるサイトではないでしょうか。

どの層をターゲットにするかでコンテンツの内容やサイトやロゴのデザインは変わります。よってオウンドメディアの運営で最初に必要なことはターゲットの設定です。何を目的に誰をターゲットにしたオウンドメディアにするかを考えましょう。またターゲットごとにオウンドメディアを複数作成しても良いでしょう。

実際に筆者が籍を置く株式会社ジャックアンドビーンズではターゲットごとにオウンドメディアを分けてそれぞれ運営しています。

株式会社ジャックアンドビーンズコーポレートサイト

掲載内容:事業内容紹介、会社概要、お問い合わせフォーム
サイトのメインターゲット:求職者、クライアント

記事サイト J&B Labo

掲載内容:webマーケティング関連記事
サイトのメインターゲット:webマーケティングの情報を求める人

結婚式二次会会場の紹介サイト MORE

掲載内容:結婚式二次会・企業パーティーの会場情報、結婚式二次会関連のサポートプラン紹介
サイトのメインターゲット:新郎新婦、結婚式二次会の幹事、企業パーティーの幹事

運営する企業は1つでもオウンドメディアはさまざまです。


円滑な運営のための3つのポイント

運営する上でのポイントは3つに分類されます。1つはターゲットを明確にすること、2つ目は運営する方のモチベーションを継続させること、そして3つ目はプロモーション戦略です。

【ターゲットの明確化】

コンテンツの中身はターゲットによって異なります。そのためターゲットがブレればコンテンツの内容にもブレが生じ、ユーザーが何を意図したサイトなのか分からなくなってしまうこともあり得ます。
コンテンツを考える上で、誰に届けるコンテンツなのか、何を掲載すべきかという点を明確にしましょう。この点を明確にし長期的に運営していくことで、例えブレが生じたとしても内容を一律化し、サイトのアイデンティティを保てます。

では各ターゲットに対してどのようなコンテンツを用意すべきなのでしょうか。例えば株主や投資家をターゲットにするなら堅実な話を出すべきで、頻繁に更新する必要はありません。しかし貴社の存在を知らない人をターゲットにするなら、拡散させて多くの人に認知させるためにソーシャルメディアで取り上げられるようなエンタテイメント性を持たせたり、更新頻度をあげることで新鮮な情報を提供したりすることが望まれます。エンタテイメント性の例としては、インフォグラフィックを用いてデザイン性をあげたり、サービスや商品について紹介する漫画を掲載したりする方法が考えられます。

サービス・商材が世の中に浸透しておらず、ターゲットとなるユーザーがサイトを見ても理解ができないと予想される場合もオウンドメディアが活躍します。サービス・商材の利用方法や実際に利用した結果を記事にして掲載するのです。ターゲットとなるユーザーのリテラシーが低い場合、サイトのコンテンツを通してリテラシーを高めることもできます。どのように利用すればいいのかイメージできたり効果を検証する結果があると、ユーザーがそのサービス・商材を使うまでのハードルが低くなります。コスト削減を売りにしているプリンターリースやテレアポ代行サービスなど、その効果が問われるものは実際に利用した結果をまとめたコンテンツの掲載をおすすめします。

【モチベーションの継続】

運営する上でPVやセッションが伸びなかったり、ユーザーの反応が目に見えて返ってこなかったりすると、モチベーションを継続させるのが難しくなる方が多いかと思います。しかしオウンドメディアの運営はマラソンのようなものです。持続力がなければ途中で投げ出してしまいます。
ユーザーの反応がないことでモチベーションが下がるのはある程度仕方がありません。「最初は思うように反応が得られないものだ」と思って運営し、反応がないことに過敏になりすぎないことです。

おすすめしたいのは、「PV 増やす」「セッション 増やす」などで検索して出てくる記事を読むことです。「最初は規模が小さいサイトでも成長することができた」という事実と、実際にどのようなことを行ったのかがまとめられています。これはとても参考になる教科書です。

こちらに関してもソーシャルメディアのアカウントやコメント欄を設けることで、ユーザーの反応を目に見える形にしておくことが大切です。何かしらのアクションがあったら嬉しくなるものです。その嬉しさがモチベーションに変わります。
コンテンツを用意する能力やリソースが存在しても、運営する人間のやる気がなくなってしまえばそれまでです。「自分はこれでモチベーションがあがる・継続できる」という動機の源泉が分かったらそれを確実に押さえましょう。

筆者は前述したJ&B Laboの運営に携わっていますが、社外の方からの反応が得られるとやる気が得られます。社外の方からの反応はソーシャルメディアで見られることはもちろん、弊社のお客様からの反応や感想を他の社員が社内で共有してくれることもあります。

オウンドメディアの運営に直接関わっている社員は限られていても、その他の社員、経営者から社外の反応を伝えることで会社全体でオウンドメディアを盛り上げていくことができます。

【プロモーション戦略】

ターゲットを明確にしてより良いコンテンツを用意し、やる気をもってオウンドメディアを運営しても、ユーザーがその存在を知らなければ反応は期待できません。そのためどうやって拡散させ認知させるか、プロモーション戦略を立てる必要があります。 TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアを活用してみましょう。ソーシャルメディアはときに爆発的な広がりを見せることもあります。ただし簡単に広まるわけではありません。男性ユーザーの多いSNSで化粧品の情報を流しても効果は見込めそうにありませんよね。ターゲットとなるユーザーが利用しているソーシャルメディアで、ユーザーがもっとも利用している時間帯に情報を配信しなければいけません。 また多くの情報が行き交うSNSでは人目を惹くような情報の発信が求められます。写真を使用したり、キャッチーなタイトルにしたりして、興味を持ってもらうように工夫してみましょう。先日のエイプリルフールでは多くの企業がネタを披露しました。季節のイベントに合わせたプロモーションを行うとその他のメディアでも話題になるかもしれません。Twitterプロモ広告やFacebook広告を利用するのも良いでしょう。下図はTwitterプロモ広告の例です。アスキーアートや画像を使用することでユーザーの興味を惹いています。


最後にもう一度:ユーザーとの窓口は必ず用意しましょう

オウンドメディアの土台はターゲットに合ったコンテンツの内容と運営者のモチベーション、戦略のあるプロモーションではないでしょうか。その3つをいかに安定して確保するかが大切です。コンテンツの内容がユーザーの求めるものなのか確認するため、ユーザーの反応でモチベーションをあげるため、より多くのターゲットに興味をもってもらうため、ユーザーとの窓口を用意することをおすすめします。

参考:http://www.yuras.co.jp/concept.html(現在リンク切れ)