BtoBサイトのコンテンツを考える時のステップとコンバージョン率を上げる手法

インバウンドマーケティングの実践では、自社を見つけてもらい、見込み顧客を獲得するだけでなく、顧客になってもらうまで関係を育むことが必要になります。
しかし、弊社にご相談いただく企業様の多くはWEB経由のお問い合わせ・資料獲得数が月数十件程度で、まだまだアウトバウンド手法と併用しながら営業活動をされています。
リード数が豊富にあれば、獲得してから成約するまでの確率を上げる施策も幅が拡がるのですが、「そもそものリード数が足りない!」というBtoB企業が圧倒的に多いです。

そこで今回は見込み顧客獲得(リードジェネレーション)を強化する際に参考にしていただけるよう、BtoBサイトのコンバージョン率を上げるための考え方と手法を、社内事例を中心に使いながらご紹介します。

※この記事は旧ブログ「INBOUND marketing blog」から移行したものです。

【目次】


はじめに

見込み顧客を獲得するまでの、

  • 見つけてもらう
  • コンテンツを見てもらう
  • コンタクト情報を入力してもらう(お問い合わせや資料請求をしてもらう)

各ステップの中でコンテンツを見てから、コンタクト情報を入力してもらうまでの流れに焦点を当ててご説明します。

とはいえ、前提として「お問い合わせしたい!」「メールマガジンに登録してみたい!」と思ってもらう必要があるため、まずはコンテンツを考える時に社内でよく使っている3つのステップからご紹介します。


コンテンツを考える時の3つのステップ

STEP1:対象となる顧客を明確にする

インバウンドマーケティングでは役立つコンテンツの提供が重要ですが、まずは当のコンテンツを届けたい相手を明確にします。社内でも何度か失敗経験がありますが、この部分がブレるとコンテンツも、獲得できるリードも、案件も全てブレてしまい、かけた労力が本当に無駄になってしまいます。WEBだけで完結する話ではないので、弊社では営業やマーケティング担当と協同ですり合わせを行なっています。

STEP2:顧客が「なにを求めているのか」を常に考え続ける

コンテンツを届ける相手がどんなきっかけで、何に困っていて、何を知りたいと思っているかを考えます。ついつい「こんな説明をしたい!」「こういう風に思ってもらいたい!」が先立ってしまうものですが、STEP1で確認した人たちは何かを知りたいと思っていることを忘れないように気をつけています。

STEP3:求められているコンテンツを提供する

STEP2で「なにを求めているのか」を考え、それをコンテンツに落としこんでいきます。
BtoBでは「製品紹介/導入事例/導入の流れ/価格/FAQ/会社概要」などがよくあるサイト構成ですが、上記の例のようにもっと多くの情報が求められているはずです。STEP1、2を意識しながら、 どのコンテンツをどのタイミングで提供していくか考えます。

そして、以降では手間暇かけて作ったコンテンツを見てもらった後に、スムーズにお問い合わせや資料請求まで誘導する手法を紹介していきます。


コンバージョン率を上げる12のTIPS

1.目立つ位置にアクションボタンを置く

ページ上部・下部・サイドカラムと目立つ所にボタンがあると、クリックしてもらいやすくなります。

2.アクションボタン自体を目立たせる

せっかく目立つ場所にあっても、目立たないボタンでは気づいてもらえないこともあります。直近では、アクションボタンがグレーの時に1.84%だったクリック率が、オレンジにしてから2.56%まで上がった事例がありました。

3.電話番号を記載する

業界や相談内容・人によっては、フォーム内にお問い合わせ内容を記載するのではなく電話で説明したい場合もあります。その人たちがすぐに問い合わせられるように電話番号を目立つ位置に記載しましょう。

4.アクションするメリットを訴求する

漠然とした「資料請求はこちら」よりも、「社内SNS活用方法をまとめた資料をお送りします」とあった方が興味を持ってもらえます。送付する資料やニュースレターの内容は事前に伝えてみましょう。

5.ページとアクションボタンの関連性を高める

ブログ記事ごとに誘導するeBookを変えている米Hubspot社

例えば、サポート情報ページでは「資料DL」よりも「お問い合わせ」が適切で、コラムページでは「見積依頼」よりも「ニュースレターへの登録」が適切です。
ページ内容とアクションボタンの内容を合わせることで、よりスムーズに目的地まで誘導できます。

6.アクションボタンの選択肢は複数用意する

例えば、ページ内にアクションボタンが「お問い合わせ」しかない場合、資料請求をしたい人やデモを体験したい人は躊躇してしまいます。
上記のサイトで窓口を1つから3つに増やしたところ、リード(お問い合わせ)獲得数が約3倍に伸びました。過去のお問い合わせ内容を分析しながら、アクションボタンの種類を設計しましょう。

7.ブログ記事にもアクションボタンを設置する

ブログ記事の下部にいいね!やツイートボタンだけでなく、eBookやメルマガ登録へのアクションボタンを設置して、より深い接点が持てるようにしましょう。

8.ランディングページでも複数のアクションボタンを用意する

一般的なランディングページでは「お問い合わせ」だけが設置されていますが、コンバージョンしなかった人の中には「問い合わせるほどではないが、資料は欲しい人」などもいます。
流入キーワードから訪問者のニーズを推測し、「お問い合わせ」以外の窓口も検討しましょう。

9.フォームのファーストビューで入力するメリットを訴求する

フォームに訪れた後でも平均70%のユーザが完了画面まで行かずに離脱します。ファーストビューを活用して、入力のモチベーションを高めることで離脱率を下げましょう。

10.入力項目は極力少なくする

訪問者の負荷を軽減するために入力項目は必要最低限にすることが基本です。社内では入力項目を13個から6個に減らしたところ、完了率が250%になったこともありました。

11.不要なナビゲーションを消してしまう

フォーム内のグローバルナビやサイドナビ・フッターは特別な意図がなければ、離脱の原因になるのでなくしてしまいましょう。

12. A/Bテストをする

ここまで11個のTIPSを紹介しましたが、サイトによって最適な取り入れ方は違います。改善していく気持ちと仮説を持ちながら、常により良い形をテストしていきましょう。


最後に:見込み顧客と関係構築をしていくために・・・

WEB上で購入まで完了するECサイトと違い、BtoBサイトはコンバージョン=売上ではありません。
リード数が増えても、「お問い合わせ」や「資料請求」をしてくれた人たちへの対応が遅れたり、疎らにならないように予め対応方法やフローを設計しておきましょう。

また、「お問い合わせ」や「資料請求」をしてくれなくても、なにかに興味を持ってサイトやブログに訪問してくれた人がたくさんいます。一般的なBtoBサイトのCV率は0.5%前後なので、実はコンバージョンしなかった残りの90%は「導入は検討していないが、なにかを探している・興味を持っている人たち」かもしれません。

従来のBtoBサイトはコンバージョンする0.5%の人たちだけを対象にしてきましたが、コンバージョンするもっと前の「なにかを探している・興味を持っている人たち」にも適切なタイミング・方法で情報を提供していくことによって、(きっと)自然な企業と企業、人と人の関係が作られていくのではないでしょうか。