BtoBのソーシャルメディア活用のポイントを事例を交えて紹介

BtoB企業はどうソーシャルメディアを活用するのか?
ソーシャルメディアの運用がうまくいくのは、ファンを作りやすいBtoC企業だけ。そんな誤解がまだあるようですが、すでに多くのBtoB企業がソーシャルメディアを活用した情報発信を行っています。

BtoBのサービスや商品であっても、導入や購買の決定をするのは企業の中にいる人です。ソーシャルメディアを使ってターゲットとする人たちの関心に応じた情報を提供し、誠実な対応をすることで、企業にとって最も重要な信頼を獲得できるため、重要な施策になります。

しかし、Webサイトと同じように商品やサービスの紹介をソーシャルメディアで配信するだけでは、ターゲットの興味・関心を得ることはできません。そこは、BtoCのソーシャルメディア運用と同様に、ソーシャルメディアの活用の目的を整理し、ターゲットユーザーを明確にした上で、その人達に届く情報を戦略的に配信していく必要があります。

例えば、導入担当者の関心事について、プロフェッショナルな知見からの情報を配信する、企業としての考えや活動を紹介する、すでに顧客となっている人にコミュニケーションを通してサポートする、導入事例を紹介するといった活用が考えられます。

今回は、BtoB企業の中でも特にスタートアップと呼ばれる企業のFacebookページ活用事例を取り上げます。スタートアップに着目したのは、認知度を獲得する、ユーザーを獲得する、信頼度をあげるといったスタートアップにとっては特に重要なマーケティング施策においてソーシャルメディアは重要なツールであり、実際多くの企業が積極的かつ有効に活用しているからです。

※この記事は旧ブログ「INBOUND marketing blog」から移行したものです。

【目次】


マネーフォワード:自社メディアの拡散ツールとして活用

個人向け資産管理ツールを提供するマネーフォワードでは、法人向けサービスとしてクラウド会計などのサービスも提供しています。同社のFacebookページでは、ターゲットユーザーとなる個人事業主向けの情報が多く配信されています。

マネーフォワード:Money Forward

同社は、オウンドメディアやブログも運営しており、インバウンドマーケティングを積極的に推進していることでも有名ですが、ソーシャルメディアでは自社メディアのリンクを紹介することも多く、Facebookを拡散のツールとしても活用していることがうかがえます。


サンサン:タイムリーにメディア露出情報を告知

クラウド名刺管理サービスを提供するサンサンでは、同社の活動などをタイムリーに紹介しているほか、導入事例紹介、サンサンの利用しどころなどを紹介しています。

Sansan

同社は特にテレビ、Webメディアなどのメディア露出が積極的な企業ですが、その情報をタイムリーに告知しています。

以下は、小泉進次郎氏が同社を訪れたことをFacebookページで紹介していたものをシェアした投稿です。こうしたニュース性の高い話題をタイムリーに紹介することで、信頼度をあげています。

また導入事例の紹介も積極的に行っており、なぜその企業が導入に至ったのか、どういう成果をあげているのかを紹介しています。


チャットワーク:ユーザーサポートに活用

チームプロジェクト向けチャットサービスのチャットワークのFacebookページでは、ユーザーに向けた新機能紹介や障害情報などを投稿しています。

チャットワーク(ChatWork)

以下の投稿では、新サービスとして広告配信機能を紹介しています。しかし、投稿へのコメントで、この広告は有料ユーザーにも表示されるのか、という苦言を呈する人が現れました。チャットワークの担当者は即座に反応し、広告は無料サービスのユーザーに表示されること、指摘された資料の書き方の改善について担当者に伝えることなどを回答しています。そして、最後はコメントしたユーザーからの激励の言葉をもらっています。苦情や提案などのコメントに対して、オープンな場所で真摯に対応することで、ファンを作れるという良い事例です。


Wantedly:採用担当者のための情報を配信

ウォンテッドリーでは、採用担当者向けに情報を届けるFacebookページを、一般ユーザー向けのページとは別に用意しています。

Wantedly採用担当者向け情報局

このページでは採用事例の他、人事担当者が気になる情報をキュレーションして紹介する投稿も多くあります。

また同社では、Wantedlyの活用事例の動画を作成し、それをFacebook広告で配信もしていました。制作費をかけたコンテンツに対しては、広告配信してリーチを伸ばすというやり方は、オーガニックリーチが下がっているFacebookに対応した有効な活用方法です。


まとめ:事業内容、ターゲットユーザーに合わせた情報配信をしよう

今回は投稿頻度も高く、投稿の質も高いスタートアップをピックアップして紹介しました。

BtoBでもソーシャルメディアを活用することで、信頼を獲得したり、ユーザーの期待に答えることができるということがわかったのではないでしょうか。

もちろんスタートアップではなくても、ソーシャルメディアを活用するBtoB企業も多いですが、スタートアップのFacebookページ運用は、柔軟性、即時の対応、コミュニケーションなどの面からお手本にするべきことが多いと感じます。


<執筆>
著者: 深谷歩
株式会社 深谷歩事務所 代表取締役
ソーシャルメディアやブロクを活用したコンテンツマーケティング支援を行う。Webメディア、雑誌の執筆に加え、講演活動、動画制作も行う。またフェレット用品を扱うオンラインショップ「Ferretoys」も運営。

著書
『小さなお店のLINE@集客・販促ガイド』(翔泳社)
『SNS活用→集客のオキテ』(ソシム)
『小さな会社のFacebookページ制作・運用ガイド』(翔泳社)
『小さな会社のFacebookページ集客・販促ガイド』(翔泳社)
深谷歩事務所公式サイト