リマーケティング広告で嫌われない3つの方法

自社イメージの悪化を懸念し、配信に二の足を踏んでいる人もいるほどネガティブなイメージをもたれやすい「リマーケティング広告」。巷ではストーカー広告と呼ぶ人もいるそうです。 Web担当者やリスティング運用者にとって、これは頭を抱える問題ではないでしょうか。

しかし、自社イメージを悪くすることなくリマーケティング広告を配信する方法が、実はあります。当記事で紹介するいくつかの工夫をすることで、自社イメージの悪化を防ぐだけではなく、コンバージョンの増加が期待できます。

※この記事は旧ブログ「INBOUND marketing blog」から移行したものです。

【目次】


しつこいストーカー広告だと揶揄されているからといって、リマーケティング広告をはなから敬遠してしまうことは悲劇です。

検索連動型広告でユーザーの興味やニーズ、検索しそうなキーワードを予測してもそれは予測に過ぎず、的を外してしまうこともあるかと思います。予測は100%的中することは滅多にありません。
一方で、リマーケティング広告はサイトに訪問したユーザーをターゲットとするため、予測のターゲティングではなく100%現実的なターゲティングです。

事実、弊社(株式会社ジャックアンドビーンズ)で
「予測したターゲットに対してインタレストマッチやプレイスメントでディスプレイ広告を出す」
よりも
「過去にサイトへ訪問したユーザーにリマーケティングでディスプレイ広告を出す」
方がCVR(コンバージョン率)は高く、CPA(コンバージョン単価)も低くなったという成果が出ています。

それでは、リマーケティングのネガティブイメージを払拭する3つの方法について詳しく述べていこうと思います。

※リマーケティングを Google では「リマーケティング」、Yahoo! では「サイトリターゲティング」と呼んでいますが、当記事では「リマーケティング」と表記いたします。


リマーケティングとは

ご存知の方も多いかと思いますので、簡単に説明させていただきます。

リマーケティングとは、ディスプレイ広告のターゲティング手法の1つで、自社サイトに訪問したユーザーを追いかけて、ユーザーが訪問する他のサイトやモバイルアプリ(Google ディスプレイネットワーク、Yahoo! ディスプレイアドネットワーク、その関連サイトやアプリ)に自社の広告を表示させる機能です。


リマーケティングのメリット

リマーケティングは自社サイトに訪問したことのあるユーザー、つまり自社の商材に少なからず興味を抱くユーザーに対して広告を表示するため、

①コンバージョンしなかったユーザーに商材の購入や会員登録などを再度促すことができる
②会社名、商品名、サービス名などを認知してもらうことができる
③コンバージョンしてくれたユーザーに別の商材を勧めることができる

などのメリットがあります。

さらに、リマーケティングは広告を繰り返しユーザーに表示されるので、繰り返し接することにより好意度が高まる「単純接触効果」が生まれます。


リマーケティング広告が「ストーカー広告」と揶揄される理由

受験生の頃、親と顔を合わせる度に「勉強しなさい」と言われ、逆に勉強する気が失われたという経験ありませんか。

広告においても同様の心理が働きます。短期間で何度も同じA社の広告を見せられ続けたら、「A社はしつこいな、なんか嫌だな」と企業ブランドへの信頼がなくなる可能性があります。
また、B社のサイトを見て購入を決めているユーザーにA社を広告でアピールしても、もう心には響かないことでしょう。むしろ、しつこさだけが残り逆効果となります。

よって、

①「短期間で、何度も、同じ」広告で追いかけられる
②ターゲットを適切に絞れていない

という2つの理由から、リマーケティング広告がストーカー広告と揶揄されるのです。


リマーケティングのネガティブなイメージを払拭する3つの方法

リマーケティング広告がユーザーにストーカー広告として嫌われるか、何度も広告に触れ「単純接触効果」で興味を抱いてもらえるのか。

その決め手となるのは、「ユーザーを飽きさせないデザインの工夫」と「ターゲットとするユーザーの選別」、「広告の適切な配信設定」です。

1. 飽きさせないデザインの工夫

Google などの検索結果ページに表示される検索連動型広告はテキストですが、リマーケティング広告では画像であるバナーを使用できる強みがあります。

これを活かし、リマーケティングで再度ユーザーと接触するときは「なんだろう、面白いな、インパクト凄いな」と好印象を与えるデザインのバナーを使うことで、ストーカー広告というネガティブさを感じさせないことが大切です。

では、具体的にどのようなデザインが良いのか、そのポイントを3つ紹介します。

「自分は広告だ」という主張するデザインにする

ユーザーが広告に興味を抱いて自発的にクリックしたわけではなく、広告だとわからず誤ってクリックする場合があります。その後、ユーザーは求めもしない情報を訴求してくる広告に追われ、嫌悪感を抱くでしょう。これを防ぐため、誰しもが広告と判別できるデザインにする必要があります。
たとえば、以下のような広告が考えられます。

お菓子の広告バナー

バナーのデザインを複数用意する

デザインの色合い、キャッチコピー、テイストが異なるバナーのパターンを用意しユーザーに交代で表示させ、広告に飽きさせないような工夫をします。

某印刷会社が使用するバナーのうち、下記に掲載した2つのパターンを取り上げて比較してみようと思います。

まず、バナー1は色合いが鮮やかでポップな印象を受け、黒枠で囲われた吹き出しを使用しているため全体的に目立ちます。一方、バナー2は色の主張がなく比較的シンプルなので、リマーケティングされてもあまり気に障らないかと思います。

2パターン、またはそれ以上のパターンを用意して実際に配信した結果、成果を得られなかったバナーを停止し効果の高かったバナーで勝負する、さらには効果の高かったバナーのデザインをもとに新たなバナーのパターンを複数用意して効果を高めていくという可能性も生まれます。

印刷会社のバナー2
印刷会社のバナー1

受験生に勉強を促す方法は、親がストレートに「勉強しなさい」ということだけではありません。「私の大学生活はこんなことがあって面白かった」と親の体験談から未来の良いことを想像させたり、「大学に受かったら旅行に連れていってあげる」と受験生に見返りを与えたり、様々な促し方で勉強に対するやる気を出させることと似ています。

人間の心理を利用する

サイトやブログなど、横書きの文章を読むとき、私達は左から右に読みますよね。ふと視界に入った絵や物を見るときも同じで、人間は無意識に左から情報を得ようとします。バナーのように限られた範囲を見る場合は左上から右下に目線が動くため、最も訴求したいポイントを左側に入れると効果的です。

電子書籍のバナー

2. ターゲットとするユーザーの選別

コンバージョンしてくれそうなユーザーを狙って広告を配信することも重要ですが、明らかにターゲットとは異なる属性をもつユーザーを除外することでより効率よく配信することができます。

ユーザーの選別

ここで活用するのが、リマーケティングリストです。リマーケティングリストとは、どんなターゲットにリマーケティング広告を配信するか、逆にどんなターゲットに広告を配信しないかを設定できる機能です。

リマーケティングリストの作成は、

①商材カテゴリ
②コンバージョンしなかったユーザー、カートを途中で放棄したユーザー
③コンバージョンしたユーザー

ごとに作成することをお勧めします。

このリストに関して、1つ注意点があります。リストのユーザーがサイトを訪問したときに広告を表示するためには、過去30日間で100人のアクティブユーザーが必要です。アクティブユーザーとはある一定期間の間にサービスを利用したことのあるユーザーのことを指します。つまり過去30日間にサイトを訪れたユーザーが100人いなければ広告を表示できないということです。ただし、リストに追加するユーザーの数には上限がございませんのでご安心ください。

リマーケティングリストの作成

リマーケティングリストは、いくつかのリストを組み合わせたり、広告を配信したいユーザーと除外したいユーザーを組み合わせたりすることもできます。

配信と除外のリストを組み合わせでは、「サイトに訪問した全てのユーザーに配信するリスト」から「コンバージョンしたユーザーリスト」を除外することで「サイトには訪問したけれどコンバージョンしなかったユーザー」に広告を出すことが可能です。

配信と除外リストの組み合わせ

具体例を挙げますと、問い合わせフォームまで来てくれたのに問い合わせには至らなかったユーザーに対してリマーケティング広告を配信します。リマーケティングにより、もう一度問い合わせしようという気持ちになってもらえるかもしれません。この例の場合は、問い合わせフォームに到達したユーザーに配信設定をして、すでに問い合わせをしてくれたユーザーを除外設定すれば良いのです。

さらに、ユーザーがサイトに訪問してから何日間リマーケティングで追うのかという日数設定ができるので、自社で扱う商材によってユーザーを追う日数を設定しましょう。
コピー用紙を買いたいとなったとき、発注先を1週間も2週間も検討しませんよね。依頼先の比較検討期間は数日だと考えられます。一方で、オフィスを増改築したいとなると依頼先の検討は慎重になるので長くなりがちです。
この場合、コピー用紙を購入したいユーザーに対してサイト訪問後何か月もリマーケティングし続けても、ユーザーは既に他社で買っている可能性が高いです。同様に、オフィスの増改築を望むユーザーに対しては長期的にリマーケティングし続けることで、自社の広告に接触する機会を増やして単純接触効果を期待できます。

もし自社サイトのターゲットがどのくらいの期間、商材を検討するのか判断ができない場合は、実際に同一ユーザーがコンバージョンに至るまで何度サイトを訪れるのか、Googleアナリティクスでコンバージョン経路を確認してみると良いでしょう。

このように、ターゲティングにおいて詳細な設定を行うことでコンバージョンにつながる可能性を広げます。

3. 広告の適切な配信設定

何度も広告を表示してユーザーにしつこいと思われないために、広告の適切な配信設定であるフリークエンシーキャップを設けます。フリークエンシーキャップとは、同じユーザーに対する広告の上限表示回数です。


まとめ

リマーケティング広告がストーカー広告と思われるか思われないかの決め手は、ユーザーを飽きさせないデザインの広告を複数パターン用意して、適切なリマーケティングリストとフリークエンシーキャップを考え、ターゲットとすべきユーザーと配信設定を導き出せるかという工夫にかかっています。

リマーケティングは自社のイメージを悪化させる悪役ではなく、実は素晴らしい立役者になりうるとお分かりいただけたでしょうか。リマーケティングによって、BtoB 企業の皆様が益々ご活躍されることを願っております。ご一読ありがとうございました。


参考

リターゲティング広告の運用で失敗する3つの理由(現在リンク切れ)

リマーケティング キャンペーンの設定方法

「広告に接触すると買わなくなってしまう人をきれいに配信対象から外すこと」を可能にするリスティング広告のリターゲティングテクニック5選


<著者プロフィール>

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